教員免許を取ったけど一般企業に就職した理由3選!【潜在教員の私の本音】
2024.04.01更新
「せっかく教員免許を取ったのに、どうして教員にならないの?もったいない!」と周りから言われることがあります。
私のように、”大学で教員免許は取得したけれど、教員にはならずに企業に就職”という”潜在教員”が日本に約400万人存在します。
教育現場としては、そんな”潜在教員”の掘り起こしを図ろうとしているようですが、一旦他の職を選んだ人が、簡単に教職に就くとは思えません。
なぜなら教員にならないという決断には理由があり、今も解決していない問題だからです。
今回はそんな”教員にならず一般企業に就職した理由”を、当事者の私から”時間””報酬””責任”の3つに絞ってお伝えしていきます。
教員にならず一般企業に就職した理由
【長時間労働】プライベート時間がなさそうで不安
早朝から夜遅くまで職場(学校)に滞在し、休む間もなく走り回る。
先生と言えばそんなイメージではないでしょうか?
”教員”と一言でまとめていますが、もちろん全員が異常な長時間勤務をしているわけではありません。
- 私の知人の勤務状況
- ●小学校教員:朝6時には出勤し、夜は22時に帰宅はするが、土日も仕事を持ち帰っている人
●育休明けの高校教員:朝8時過ぎ出勤、夜は17時に切り上げている人
しかし、正式な文部科学省の調査でも”中学校教諭の3割以上が週の総在校等時間が60時間以上”という結果となっています。
定時の一日8時間×5日間であれば、週40時間。約20時間は残業、もしくは土日出勤をしていることになります。
平日の帰宅は遅く、土日も出勤は当たり前。
私は就職活動の時点で、”休みが異常に少ない”ことが受け入れられませんでした。
仕事だけじゃなくて、家族と友達と一緒に過ごす時間もたくさん取りたい!
趣味を楽しむ時間もほしい!
【低い給料】労働時間に対し少なくて不満
自治体によって金額は異なりますが、63.9%の人が給与に不満を感じています。
出典:東洋経済 調査データ
公立学校の教員は、残業代支給されません。「給特法※」によって残業代が支払われないことが決められているためです。
給与の詳細が知りたければこちらのサイトがおススメ!
年々少しずつ賃金アップは多少ありますが、何年先まで労働に見合わない報酬で働くことになるのでしょうか。
労働時間が長く、責任も大きい。これに見合った金額は、もっと大きいはずです。
プライベート時間が多くあれば副業も可能ですが、それも難しい。
人生お金だけじゃないと言えばそうなのですが、でも報酬に不満を感じながら働くことは、大きなストレスになります。
【個人の責任】教員一人一人の責任が大きくて耐えられるか不安
子供という大切な存在と長時間向き合う教員という職業は特別です。
教員は、家族の次に、人格形成や将来の進路へ影響を与える大人と言えます。
そんなとても大切な役割だとわかっているからこそ、適当に済ますことは出来ないというプレッシャー。
世間で教師のバッシングもよく取り上げられているよね。
対応を一つ間違えれば大トラブルに発展してしまうかも。。。
教育実習で責任の大きさを実感して、教員にならなかった人もいます。
教員という職業に対する尊敬と、役割の重要性をわかっているからこそ、怖気づいてしまうのです。
私が先生を目指したきっかけから会社員になるまで
- なりたかった先生像
- 高校の先生!部活動に積極的に力を入れて、生徒から信頼される先生になりたかった。
高校時代に恩師と出会う
高校では、勉強はそこそこに部活動を本気で頑張っていました。(強豪の部があるからその高校を選んだ)
その部活の顧問の先生がとても良い先生で、本気で向き合って一緒に頑張ってくれる先生を尊敬し、”私も生徒の心に残る大きな存在になりたい”と教師を志すように。
よくある”恩師にあこがれて教師をめざす”パターンだね!
大学で無事教員免許取得
実習は母校へ行きました。生徒と触れ合い、楽しい反面、”教える”ことの難しさを知りました。
それでも無事免許は取得でき、教員採用試験を受ける資格は得たことになります。
教師になる覚悟ができず企業へ就職
正直就職活動時には教員への熱量は下がっていました。
理由は単純で、”他にも魅力的な職業があると知ったから”。
高校生という狭い世界の中で輝いて見えた教師という職業も、たくさんある職業の中から色んな角度で見ていくと、不安な点が出てきた。(今回述べた3点)
腹をくくって採用試験を受けようかかなり迷いましたが、”とりあえず企業で働いて、それでも心残りがあればその時に採用試験をうければ良い”と、自分の中で踏ん切りを付け、一般企業へ就職しました。
一回企業で社会人経験を積んだ先生の方がおもしろい!という意見もあり、企業への就職を後押ししました。
教師への熱意戻らず
結局、そのまま教員への熱は戻ることがなく、現在も会社員をしています。
もし教員になっていたら、今回お伝えしたような懸念事項で頭を悩ませることも多くあるでしょう。でも、きっと教員という立場でしか味わえない楽しみ・充実感・達成感がたくさんあるはずです。
教師をやってみたかったなという気持ちは今でもありますが、今から転職して教師をやろうと一念発起するほどの熱量はありません。
結婚出産を経て家族を持ち、やはり私のやりたい教師像は無理だと実感しています。
まとめ
私は一度教員になろうと志しましたが、具体的に自分が働くイメージをしてみて、”覚悟ができない。自分には無理かも。”と諦めてしまいました。
「結局教職に対する熱意が弱かっただけ」と言われるとそうかもしれませんが、私の周りで教員免許を取得した人の9割が、”先生にあこがれた””先生もありかな””とりあえず免許取って損はない”と、本気で志しているわけではない人です。
つまり、私と同じように、”明らかにキツイ生活が待っている教員の世界へ飛び込む”覚悟がなく、教員にならなかった人がたくさんいます。
今回お伝えした理由は”時間””報酬””責任”の3つ。この3つが改善しなければ、”絶対に教師になるんだ!”と強い強い決意を持った人しか、教員採用試験を受けないと思います。
教員という尊い仕事が、もっと良い労働環境になることを願います。